はじめての投資

投資とは

最近、「投資を始めようかな」と考える人が増えたように思います。この記事を読んでいるあなたもきっとそうでしょう。

アベノミクス、株高、円安、ビットコイン、転職など理由はさまざまでしょうが、リーマンショックを乗り越えた世界の、日本の経済情勢の変化があなたの心にもついに波及したということでしょう。余力のある人にとって、多少のリスクを取って資産を増やそうというのはとてもよい行いです。

そもそも投資とはリソースの最適配分であり、リスクと正面から向き合うことであり、資本主義社会における投票権の行使でもあります。これまであなたは資産の全てを日本円の現預金で保有していたことでしょう。これがどのような意味を持つ行いだったのか改めて考えてみましょう。

2008年のリーマンショックから2012年のアベノミクス開始までは物価や株価は下がり、円高が進んでいましたから、日本円の現預金で資産を持つのは悪くない投資だったと言えるでしょう。この間、あなたの資産は1.5倍くらいになっていたはずです(円建てでは変わっていませんが)

一方で2012年から今までは、消費者物価こそあまり変わっていないものの、株価は上がり円安となりました。この間、あなたの資産は2/3くらいになったともいえます(円建てでは変わっていませんが)

銀行が破綻してかつ預金保護法が守ってくれなかった場合や、極端に物価が上がった場合というような、早々発生しないリスクをおいておいても、上述したような資産価値の変動は日本円で持っていても発生しています。

あなたはこれまで日本円を基準として資産の価値を、リスクを考えてきたと思いますが、それが絶対の基準ではないことが分かりました。株価や物価はもとより、円の価値もドルの価値も日々動いていくとすれば、私達は何をよりどころにして資産価値を把握し、維持・あるいは増やしていく基準としていけばよいのでしょう。健全な精神は健全なKPIの下にこそ宿るというのに、私達は何を信じればいいのでしょう。

国際分散投資

一般論としては、あなたはまず世界経済の長期的な成長を信じる必要があります。3.11があろうと、リーマンショックがあろうと、世界経済はそれを乗り越えて成長していく、世界の資本主義経済の未来に賭ける必要があります。あなたは信じられますか?

これを信じられない方に、私は語る言葉を持ちません。この前提が崩れた世界がどのようなものなのか、年末年始にそれを考えるのは楽しい娯楽かもしれません。とりあえず信じられるものとして先に進みます。

世界経済の成長を信じられるとしても、個々の企業はもちろん、個々の国の経済は信じ切れないわけです。ならばどうするか、色々な企業、色々な国にバラバラに投資する。つまり国際分散投資ということになります。

用語の説明

分散投資をする際に一社一社売買していたら手間がかかって仕方ありません。まずはそういう際の道具を説明しておきます。

  • 証券化: 色々なものを売買しやすくするための手法の一つです
  • 上場: 色々なものを売買しやすくするための手法の一つです
  • 投資信託: 投資家から集めたお金を一定の基準で運用し、手数料を取って利益を配分する金融商品です。株式や債券、不動産など色々なものを扱う投資信託があります。
  • ETF(上場投資信託): 投資信託を上場してより売買しやすくしたものです
  • 債権: 国債社債などです、つまり、国や会社に金を貸して金利を取るというものです
  • REIT(リート): 不動産投資信託 (real estate investment trust)です。その名の通り不動産を扱う投資信託です。
  • コモディティ: 一般には商品、日用品といった意味ですが、この文脈では原油天然ガス、金、プラチナなどをETFにしたものを扱います
  • ノーロード: 売買手数料がかからないという意味です。運用手数料がその分高いわけですが、投資家の利害と運用者の利害が一致しやすいのでよいとされています。(従来型証券会社が売買手数料目当てに無為な売買を客に押し込んでいたという話を聞いたことのある人も多いでしょう)

金融商品での儲け方

金融証券から利益を得る際にはインカムゲインキャピタルゲインという二通りの方法があります。

インカムゲインは端的には利息のことです。具体的には株式なら配当、債権なら受取利息、不動産なら家賃収入です。

キャピタルゲインは値上がり益のことです。株式はもちろん、金融商品はものによって程度の差はあれ価格が変動します。この変動から利益を得ることも出来ます。

金融商品の種類

投資の対象となる金融商品は、種類に応じて以下のような特徴があります

  • 株式: 値動きが大きく(=大きなキャピタルゲインを狙える)、利回りはぼちぼち(=配当収入はぼちぼち)
  • 債権: 値動きが小さく、利回りが高い
  • 不動産: 株式や債券と異なる値動きをし(=リスクを分散出来る)、利回りが比較的高い
  • コモディティ: 物価に連動した動きをする

になります。

地域の分散

次に地域的な分散についてですがおおざっぱには、

  • 国内
  • 先進国: ローリスクローリターン
  • 新興国: ハイリスクハイリターン

に分けられます。

国際分散投資をしよう

さまざまな種類の金融商品と地域分散を理解出来ましたね。

では、投資信託一覧を見て、さまざまな金融商品を組合せ、君だけの最強のポートフォリオを作ってみましょう!

・ ・ ・

できましたか?

ちょっと難しいですよね。そういう方のために最近ではロボアドバイザーというものが作られています。 ロボアドバイザーは何をしてくれるかというと、ユーザーの目指すべきリターン、受け入れられるリスクを加味しながら、適切に分散投資をしてくれます。

適切でない分散投資というのは、一見独立しているかのように見えて実は価格の上下に相関がある複数の商品に投資してしまう場合です。具体例としては一見違う業種、違う国の企業に見えるが、Appleに売り上げを大きく依存している、とかですね。

というわけで証券会社を選んで実際にやってみましょう!どこがいいのって聞かれそうなのでとりあえず二社挙げておくと、

注:二社とも私とは2017年現在と特別な利害関係はありません。

私は松井証券を使っていますが、「世界経済の長期的な成長」以上の何かを信じている場合にはよいですね。例えば当面世界経済は安定するだろうと信じている場合、その分偏った投資(分散出来ていない投資)を行い、的中すればリターンは大きくなります。(外れたら損します)今年はよい年でしたが来年再来年は雲行きがあやしくなるかもしれませんから、先行き分からないときはきちんと分散投資を徹底した方がいいでしょう。とはいえ、自分で考えてギャンブルするのも楽しいので、多少の額で遊んでみるのもよいかもしれません。

明日暴落したらどうするか

株式は元本割れすることがあります。また、それは急速に起きることがあります。 例えば東日本大震災の際にはその後の数日で2割程度下落しています。(その後若干戻りましたが)また、もし急に安倍首相が退陣したら日本の株価は短期間で大きく下落するでしょう。

これについてはすでに答えが出ており、積み立てが正解とされています。これまでに説明した分散がこの三次元世界における分散だとしたら、積み立ては時間方向への分散投資だと言うことができるでしょう。

毎月分配型について

毎月分配型の投資信託というものがあり、それについての議論があります。それを読んで悩む人もいるでしょう。

結論だけ言うと、毎月分配型はリタイア層向けの商品で、この記事の読者向けではありません。毎月分配金を払う事務コストや利益を再投資に回せないのは資産を増やすという観点では悪手です。資産を消費しながら生きていくという観点では悪くないとは思いますが。